あるWeb系エンジニアの転職活動

はじめに

3月ごろまで転職活動をしており、この5月から新しい会社で働くことになりました。本エントリはその転職活動の振り返りです。

目次

数字での振り返り

今回の転職活動の具体的内容に触れる前に、先に数字で結果をお知らせすると以下のようになりました。

項目
利用した転職サイト数 4
転職サイトで受信したスカウトメール数 80通程度
カジュアル面談を受けた社数 16社
選考へ進んだ社数 3社
内定 3社

転職活動開始のきっかけ

もともと過去何回か転職活動を経験しており、その際に利用した各転職サイトは登録済みのまま放置していました。

ある時、TwitterのDMで他社のエンジニア(SRE)の方から「転職の予定は無くても構わないのでぜひカジュアル面談を」との誘いをいただく機会がありました。DMの文面からは私のプロフィールを丹念に見てくれていることがわかり、それならばと面談を受けてみることにしました。実際に話をしてみると、その方が実践されているSREとしての取り組みについて教えていただいたり、直近のお互いの技術的な関心事項について情報交換できたりと非常に良い体験となりました。

1対1で他社エンジニアと話すことに刺激を受けた私は、そうした機会をもっと得ようと、カジュアル面談のプラットフォーム*1を利用してエンジニアの方との面談に2〜3度ほど申し込んだりもしました。

そうこうしているうちに、もう少し間口を広げようと、過去登録済みの転職サイトでの設定を変更してスカウトメールの受付を再開したり、これまで未登録であった転職サイト*2に新規登録したりしました。

結果、本格的な転職活動としてではなく、ゆるく情報収集を始めるかたちで転職活動をスタートすることとなりました。

過去の振り返りから自分のこれからを考える

そのように情報収集をしていたところ、各社と話をする中で、自分にとって非常に魅力に感じる募集に巡り合うことがありました。「その会社での1人目SRE」というポジションになります。

なぜそうした募集が魅力に感じたのか。

私はここ3年弱ほどは2社に渡ってSREという職種で仕事をしていますが、いずれの会社でも既存のSREチームに参画するかたちで働き始めています。そこには、稼働から数年を経たプロダクトがあり、また既存SREメンバーが築き上げたインフラ、監視、CDパイプライン、データ可視化・分析システムや各種のルール・文化がありました。

先人のSREたちの知恵が詰まった、既存の仕組みやルールに触れることは自分の知識とスキルを大幅に高めることができたと思います。一方で、ある程度それらの理解が進むと、今度はこうした一連の仕組みやルール・文化を、これまでの経験をもとにゼロベースに近いかたちで自ら構築することに挑みたいという思いも強まってきました。なぜかというと、これまで一緒に働いてきた、自分のロールモデルとなるSREたちは、そのキャリアのどこかでゼロからこれらを構築した経験を持っていたためです。

今回の転職の軸を決める

以上の振り返りを踏まえて、もし以下のような募集があれば、現職を辞めてでも掴みに行っても良いチャンスと捉え、選考に進むことを検討することにしました。

  • その会社全体あるいは個別のプロダクトにおいて1人目となるSREの募集

なお、複数プロダクトを持つようなある程度規模の大きい企業に関しては、全社横断のSREチームが存在し、そのSREチームに籍を置きつつ、まだ歴史の浅い個別プロダクトの開発チームの中に入って、あるいは外から働きかけることでSite Reliability Engineeringを実践する、という形態もあるかと思います。こうした形態でも「個別プロダクトの1人目SRE」としてのキャリアを実現できそうであった場合には、同様に選考に進むことを検討するようにしました。

選考とその結果

16社とのカジュアル面談を経て、前述の基準をもとに最終的に以下3社の選考に進みました。

  1. 東証プライム上場済みベンチャー
  2. シリーズBラウンドのスタートアップ
  3. プレシリーズAラウンドのスタートアップ

選考の結果、3社とも内定をいただくことができました。

転職先とその理由

そして、3社の中から新しい挑戦の場として選んだのは「3 . プレシリーズAラウンドのスタートアップ」となるスマートラウンドとなります。

1人目のSREという点以外で、この企業を選んだ理由はおもに3点あります。

1点目は「全てをクリーンに」を始めとする開発チームの文化に共感を覚え、それが有言実行されていることがインフラ面からでも確認できたことです。

スマートラウンドではこれまでCTOとテックリードの計2名を中心として兼務でインフラを構築・管理していたとのことでした。そうした兼務体制の中でも、AWSアカウントが本番環境と検証環境で分割済みであったり、主要なAWSリソースをTerrafromでIaC化しているなど、年数の浅いスタートアップとしてはかなりクリーンな構成となっていました。

もちろん、たとえ1アカウントに本番環境と検証環境が混在して運用されていたとしてもそれが内定辞退の理由になることは無く、入社後に自分がそれらを分離するだけの話ではあるのですが、CTOが初期フェーズからこうしたクリーンな構成を重視していることは自分の志向とも近しく、今後様々な局面で自分の取り組みを後押ししてもらえると感じました。

2点目は手掛けている事業に大きな可能性と発展性を感じたことでした。

スマートラウンドでは、スタートアップと投資家間のデータ共有・管理プラットフォームとなるsmartroundを開発・運営しています。スタートアップの経営者の多くは起業するのは初めてで、そんな中で資本政策や株主総会開催といった、ステークホルダーである投資家も絡む複雑な業務に多くの時間を割かれてしまっているという課題があるとのことでした。smartroundはそうした課題を解決するSaaSです。

今回スマートラウンドの選考を受けることで初めてスタートアップ関連のニュースなどに注目して知るようになったのですが、日本ではいま政府や各種経済団体がスタートアップ振興に非常に力を入れています。smartroundは現在2,800社以上のスタートアップに利用されており、そうした流れを引っ張っていくプラットフォームになると感じました。

3点目は人でした。

内定を承諾する前にCTOと複数回に渡って様々なやり取りをしたのですが、転職という重大なライフイベントでの決断をする私の立場を尊重し、非常に真摯に対応してもらえました。この真摯さの度合いが自分にとっては心を打たれるほどで、最後はこれが決め手となりました。

終わりに

以上、今回の転職活動の報告でした。自分としては今回の転職活動を通じてキャリアの振り返りができ、そしてその結果に基づいて新しい挑戦の場が得られたことに非常に満足しています。また、カジュアル面談やその後の選考に時間を割いて下さった各社には感謝申し上げます。

新しい環境での取り組みは各種イベントへの登壇などを通じてアウトプットしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

最後に、今回のエントリを見てスマートラウンドのことをもっと知りたいと思った方がいれば、Wantedlyか、私のTwitterへのDMなどでぜひお気軽に声を掛けてください。技術スタックについてはフロントエンドはVue.js & TypeScript、バックエンドはKotlin、インフラはAWSとなっています。

*1:カジュアル面談探しにはMeetyを利用させていただきました。

*2:新規登録したうちのひとつがLAPRASです。今回カジュアル面談を受けた企業16社のうちの14社と、選考に進み内定を獲得した企業3社の全てがLAPRAS経由であり、かなり活用させていただきました。